2022年4月23日、知床半島沖で観光船が遭難するという事件が発生しました。
死者数も10人を超える、非常にショッキングな事件だったのですが……
運航会社の杜撰な管理、運営体制が明らかとなり、バッシングに晒されています。
今回は知床遊覧船「KAZU Ⅰ」の事故の原因について明らかになっている情報をまとめました。
知床遊覧船の沈没事故は人災と話題!
2022年4月23日に起こった知床遊覧船の事故は人災だったと話題になっています。
人様の命を預かる事業を営むことを甘く見過ぎた結果。お前のその肘をついて会見に臨んでる体たらく振りが生んだ人災なんだよ桂田。亡くなった人間は返ってこない。#知床遊覧船
#記者会見
#桂田精一— (@Casanova_rossa) April 27, 2022
人災やな。
ふざけすぎやろ。
#知床遊覧船— にゃあ (@ohana_maman) April 27, 2022
事故当日の出航の判断、事故以前からの会社の体制などなど、今回の事故を巡る背景には不可解な物も多く……
乗客の家族も怒りを隠せないようです。
知床遊覧船の事故原因まとめ!
知床遊覧船の事故の原因としては、以下のような要因が指摘されています。
- 悪天候
- 船長の経験の浅さ
- 土地柄的に危険の伴うコース
- 去年の挫傷事故での傷
- 船は古く小さな船だった
- GPSの不具合
- 会社の無線が壊れていた
- 他会社に先駆けて航行開始
- 会社社長が海を知らない素人
- ベテランを一斉解雇
- 社長のお金への執着
一つずつ紹介していきます。
①悪天候
KAZU Ⅰの事故が起きた直接的な理由は、やはり悪天候。
春の知床は天候が変わりやすく、事故当時の波の高さは0.3メートルにも上ったとされています。
国土交通省北海道開発局の海象情報などによると、この時間帯、同漁港の波の高さは0・3メートル前後だったという。
引用:毎日新聞
遭難したKAZUⅠの船体は事故発生後もしばらく見つからず、行方不明の乗客と共に捜索が行われることになりましたが……
その捜索自体も、悪天候が原因となり地元の漁業者による捜索が難航する事態となりました。
海保の担当者は「小さい漁船や観光船は海に出るのが難しい状況だろう」と説明した。
引用:gooニュース
海のスペシャリストたる海上保安庁から「海に出るのが難しい状況」という声明が出るほどなんですね。
②船長の経験の浅さ
そんな過酷な状況で船を任される船長には、当然相応のスキルが要求されます。
しかし、今回KAZU Ⅰを率いていた船長は経験が浅い人物だったようです。
名前は豊田徳幸さん、年齢は54歳。
出航の判断は豊田さんの「独断だった」のではないかと、「KAZU Ⅰ」と同じ会社の「KAZU Ⅲ」という船の臨時船長が語られています。
『KAZUⅠ』の船長の豊田さんも単独で、しかも去年からの経験もまだ浅いですから
引用:YAHOO!JAPANニュース
一方で、運航会社社長は会見で、「最終的な出航判断は私」と語られました。
尤も、「船長判断で途中で戻る」という条件も定めていたようですが……
予定の地点まで到達できない場合の乗船料金も決めていると説明し、当日は豊田船長と打ち合わせ、「船長判断で途中で戻る」条件付き運航であったと強調した。
引用:YAHOO!JAPANニュース
豊田さんは4月27日時点で、行方不明とされています。
③土地柄的に危険の伴うコース
知床はかねてから海の難所として有名でした。
近くの山脈の関係から度々「おろし風」「だし風」と呼ばれる局所的な強風が吹き、時には竜巻のようになることも。
1959年4月6日には、だし風が最大45メートルに達する暴風となり、15隻もの船を沈没される大災害も起こしています。
スケソウ刺網漁船が、わずか3~4キロの海岸にたどり着くのもままならず次々と遭難、15隻が沈没・転覆し、死者・行方不明あわせて85人に達した。
引用:JCASTトレンド
船舶を運行するものにとって、要注意箇所であることは以前から知られていたとのこと。
それだけに、知床での運行は十分な知識、準備が必要とされていたのですが……
④去年の挫傷事故での傷
KAZU Ⅰは2021年にも座礁事故を起こしていたという証言もあります。
しかも二回も。
事故が起こった際にKAZU Ⅰに乗船していた方が言うには、座礁事故の際に船長は泣いていたとのことで……
腰も低く、声も小さく、「ベテランという感じがしない」という印象を抱かれたのだとか。
その際の物か、船の前側や船底に傷を負っていたともされており……
去年、2回ぐらい座礁事故を起こしている。自分が見た限り、船の前側の方が割れていた。そこが大きく亀裂入って水が入った可能性がある
引用:YAHOO!JAPANニュース
運航会社の社長は、この傷について「知らなかった」と発言されています。
また、事故を起こした当時の船長が自ら修理を行い、当局から「プロに頼まないとだめだ」と指摘された、という話も出ています。
二度の事故を起こした人物は、いずれも既にKAZU Ⅰ運航会社から去っており、最後に残ったのが豊田さん。
会社には豊田さん一人しか正規の船長はいない状態だったようです。
そのあとに船長を3人新規で採用して、そのうちの2人が去年事故を起こして、残った1人が豊田さん
引用:YAHOO!JAPANニュース
「豊田さんが以前も事故を起こしていた」という情報も出ていますが、KZZU Ⅲ臨時船長が言うには、それは正確には違うとのことです。
⑤船は古く小さな船だった
古く、小さい船であるほど、悪条件での運行には耐えがたい物があると思われますが……
KAZU Ⅰはその両条件に当てはまる船だったようです。
KAZU Iが古い船という情報があった。経費削減は必要だと思うが、そのために客の安全を蔑ろにしてはだめだなぁ。知らんけどもしも整備基準も満たしてないのに使用してたんならダメだわ。あんま詳しくないのでわからんが。ミートホープと同質の問題の匂いがする。
— 虚空@双極性障害 (@Sou_Utsu_Hiki) April 27, 2022
載っていた人数も26人とのことですから、船のキャパ的にはそう大きなものではなかったんですね。
⑥GPSの不具合
事故二日前の時点でGPS装置がKAZU Ⅰに設置されていなかったことが判明しています。
全地球測位システム(GPS)装置がカズワンに設置されていなかったことも判明。国土交通省などは、同社の安全管理体制に問題がなかったか調べている。
引用:乗りものニュース
自船の位置を確認できるGPSプロッターは網走海上保安署が安全確保のために取り付けを勧めている機器。
KAZU Ⅰ運航会社は「整備のため取り外していた」と説明しています。
⑦会社の無線や船の衛星電話が壊れていた
事故が起こった時点で、KAZU Ⅰ運航会社の事務所の無線設備が破損していた、と言う情報もありました。
事務所に設置されていたアンテナが以前から折れており、無線での交信ができない状態だったと見られています。
事故当時、最初に異常を察知したのが別の観光船会社の従業員だったのも、そういった事情があったのでしょう。
事故当日、最初に異常を察知したのは同社ではなく、カズワンからの無線連絡を聞いた別の観光船会社の従業員男性だった
引用:乗り物ニュース
無線連絡を最初に聞いた男性は、海が荒れていたこともありKAZU Ⅰ運航会社の事務所を訪問。
「船と連絡が取れない」と伝えられ、自ら交信にあたり、通報などを行いました。
また、船に積むはずの衛星電話も壊れていた様子。
コースは携帯電話の通じない場所もあったため、衛星電話が壊れていたというのは論外ですよね。。
⑧他会社に先駆けて航行開始
KAZU Ⅰ運航会社、名前は知床遊覧船。
実は、同日に観光船を出していたのは知床遊覧船一社だけだったというのです。
単独での運航には危険も伴うと言われていますが……
同社は恒常的に4月下旬から運航を開始する会社だったとのこと。
元々昔から、連休前から営業する会社だったんです。その辺は逆にいうと通常通り
他の会社も2社だけ4月の中ぐらいから営業してるのわかっていたので、今回はたまたま1社だった
引用:YAHOO!JAPANニュース
しかし、同業者が運航していない中での運航としては、慎重さに欠けていたという苦言も見られています。
実際に、事故が遭った当日は「今日は辞めた方がいい」という忠告を行ったという人も出てきており、しかしその忠告は受け入れられませんでした。
⑨会社社長が海を知らない素人
知床遊覧船の社長である桂田精一さんは、数年前に同社の社長になった方。
船の知識については全くなかったとされています。
船の運航に関しては人任せというか、知識はないですから。人任せ
引用:YAHOO!JAPANニュース
会見では、天気に関して「テレビの天気予報士の方が(問題ないと)言っていた」という発言を行われました。
これが「天気予報士に責任転嫁する発言」「正しく天気予報を見ることもできていなかった」と批判されれいますが……
同時にこういった発言から「船の運航に対しての素人感が出ている」とも指摘されています。
⑩ベテランを一斉解雇
桂田社長は、自身が社長になったのちに、元々いたベテラン従業員などを一斉に解雇されたそうです。
一流のベテランばっかり4~5人いた。船長も責任者が4~5人いた。それを(社長が)全員解雇した。
引用:YAHOO!JAPANニュース
その後、新たに豊田さんのような経験の薄い船長を三人、新規で採用されました。
ただでさえ素人社長だったところに、経験のある従業員を一掃してしまったため、新しい船長には伝わるものが何もなく。
こういった不可解な人事、会社の体制も事故の要因になっていると言われています。
⑪社長のお金への執着
ベテランの一掃、一社先行の運航開始、GPSの非搭載にアンテナの不備、船の故障。
こういった事故の要因は、一体どうして起こったのでしょうか?
ここからはあくまで推測になりますが、桂田社長のお金への執着が強く、稼ぎとコストカットを最重要視していたからではないかと思われます。
今回の不可解な出航も、目先の利益をおったための物だという批判もありますね。
桂田社長は、今回の出航は各種条件を鑑み「行けると思った」。
遠路はるばる来ていただいたお客様のことを思い「可能な限り出航したかった」等々。
利益のために無理な出航をしたことはないと語られていますが……
収益をあげるために無理をしたのではないかと質問されると、「収益は常に考えているが、そのために無理に出航させたということはない」と説明した。
引用:朝日新聞
KAZU Ⅲの臨時船長は、社長と運営会社が変わって以降、「従業員を大事にしない会社になった」としています。
また、「野心のある人なのではないか」とも。
「野心家なのか、まず遊覧船を買収して、ビジネスを手広くしたかったのかな」
「その後に別なホテルも買収した。どんどん手広く広げたかったのかな」引用:YAHOO!JAPANニュース
社長の交代は2~3年前と言われていますから……
遊覧船、ホテルの買収に強引とも言える陣容の刷新。
桂田社長がお金儲けに熱心だった事実は疑いようもないでしょう。
ベテラン従業員を一斉に切ったのも、お金以外の理由は考えづらいものがあります。
経験のあるものは給料が月30~35万になる。でも全員解雇してバイトを集めれば、15万か20万で頼める
引用:YAHOO!JAPANニュース
設備関係の不備、故障の放置なども、それらの解決にかかる費用をケチったからなのでは?
また、船に対する無理解とお金への執着から、「他社が出来ているのに自社が出来ていないこと」をひどく苦く思っていたようで……
船の形状できょうの波だったら他社なら行けるけど、うちの船は行けないとかがある。そういう時だと『なんで他は走ってるのに』とかはあった、何回も
引用:YAHOO!JAPANニュース
コロナで資金繰りに苦しんでいるところもあったのか、他社を真似た新コースの実施などもされていたそうです。
まとめ
今回は知床遊覧船遭難事件についてまとめました。
事故で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
また、未だ行方不明の方々が一刻も早く無事見つかることを心より祈っています。