日本大学の付属病院の建て替え工事をめぐる事件。
背任容疑で日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)と医療法人前理事長の籔本雅巳容疑者(61)が逮捕されました。
今回は、大阪市の大手医療法人「錦秀会」前理事長・籔本雅巳容疑者についてまとめました。
日本大学の医学部付属板橋病院の建て替え工事で2億円超が流出
今回の事件は、日大の病院の建て替え工事において、2億2000万円ほどを不正に流出させたとして日大の理事と医療法人の前理事長が逮捕されています。
詳細を時系列で見ていきます。
- 2019年12月:日大は病院の建て替え工事の業務について、日大理事の井ノ口忠男が取締役の子会社「日本大学事業部」に委託
- 2020年4月:「日本大学事業部」に対し、日大は24億4000万円で契約
- 2020年7月:一部の約7億3000万円を「日本大学事業部」に支払い
- 2020年8月:2億2000万円を、「日本大学事業部」から医療法人グループ前理事長の籔本雅巳が全額出資した実体のないペーパー会社に送金
- 2020年9月:医療法人グループの関連会社から、井ノ口忠男理事の知人側のコンサルタント会社に6600万円の送金
- 2020年11月:上記6600円のうち、3000万円は知人側の別会社に移され、知人はこのうち計2500万円を井ノ口忠男理事に手渡し
2億2000万円の事実上の分け前として、井ノ口忠男理事個人も利益を得た疑いが持たれています。
さらに、井ノ口忠男理事は別のルートで現金を受け取った疑いもあるそうです。
日大・井ノ口理事については、以下の記事をご覧ください。↓
医療法人「錦秀会」前理事長・籔本雅巳容疑者の顔画像や経歴
- 名前:籔本雅巳
- 年齢:1060年生まれの61歳(2021年10月現在)
- 学歴:大阪大学医学部、大学院
大学は、大阪大学医学部を卒業後、そのまま大学院に進学。
医学博士の学位を持っています。
父親・藪本秀雄の跡を継ぐ
1995年、藪本氏が34歳の時に、医療法人「錦秀会」理事長に就任しました。
この「錦秀会」は、元々藪本氏の父親・秀雄さんが経営していたもの。
父の秀雄さんは、1957年に大阪市住吉区に阪和病院を開院。
一時病院経営が傾いたこともあったそうですが、
その後大阪各地から救急患者を受け入れたことで、
「救急なら阪和だ」
と評判になり、40床→1500床と、救急病院として大きく成長を遂げることになります。
父親は、70歳で引退を決意していたため、藪本氏が34歳の時に経営を引き継ぐことになりました。
その後、関西を拠点に「錦秀会グループ」として3医療法人、1社会福祉法人で6000床のベッドを擁します。
入院ベッド数で、徳洲会グループに次ぐ日本屈指の規模を誇ります。
「とくに2000年に介護保険制度がスタートし、今の理事長が療養型の病院をつくっていったのが大きかった。
そこから看護や介護施設、社会福祉法人など高齢者向けの施設をつくり、グループを大きくしていきました。
生活保護受給者向けの施設などもあります。それらは保険制度や助成金制度のおかげで、経営する側にとって、とりっぱぐれがありませんから」https://news.livedoor.com/article/detail/14254515/
また、医療ツーリズムビジネスにも乗り出しました。
日本で治療を受けたいという中国人富裕層のニーズが高いことから、阪和第二泉北病院に『阪和インテリジェント医療センター』という施設を創設。
そこでPRTやCTの検査ツアーを受け入れ、もし病気が見つかったら、阪大の病院を紹介して治療する。
という流れを作っていきました。
最初は赤字だったそうですが、安倍政権がインバウンド政策を進めると、瞬く間に軌道に乗り黒字化したのだとか。
さらに、
- PET医療センター
- 人口関節センター
- 公益財団法人
- NPO法人
- 学校法人
の理事長として難病研究、健康寿命増進、教育にも力を注ぎ、医療界にパイオニア的改革をもたらしました。
その後、2021年9月17日付で錦秀会理事長を退いています。
安倍晋三とはゴルフ仲間
藪本氏は、安倍晋三元首相とはゴルフ仲間で、「晋三さん」「ヤブちゃん」と呼び合う仲なのだとか。
安倍さんの最側近の一人だった、元外務副大臣の中山泰秀氏の仲人でもあり、
藪本氏と安倍さんの2人が、中山氏の政治資金パーティの発起人になったそうです。
安倍さんは、籔本氏を神奈川県茅ヶ崎のスリーハンドレッド(ゴルフ場)や山梨県河口湖畔の別荘に招いています。
「ああ籔本さん、私は総理を介して知りましたが、お二人がどういうご縁でお付き合いが始まったのか、わかりません。
スリーハンドレッドのゴルフのとき、松崎勲君といっしょにラウンドしようとなり、それでもうひとり誰かいないか、となった。
たしか『それならヤブちゃんがいいのでは』と総理がおっしゃったんだったと思います。それで初めてお会いしました」https://www.news-postseven.com/archives/20211007_1697546.html?DETAIL
2013年5月6日には、山梨県「富士桜カントリー倶楽部」で安倍さん主催で行なわれた4組のミニコンペにも呼ばれています。
そこには籔本氏だけでなく、政治家や大阪大学医学部大学院教授もいたそうです。
2人の仲は父の世代に遡る
安倍家と籔本家は、もとは安倍さんの父・晋太郎氏の時代にさかのぼるそう。
父の晋太郎氏は、ミナミの料亭『大和屋』を贔屓にしており、大阪にもよく行っていたそうです。
その時代に、藪本氏の父・秀雄さんと知り合い、懇意になったようです。
「錦秀会」副理事長・籔本恭明は籔本雅巳の息子ではなく弟?
ちなみに「錦秀会」の副理事長には、「藪本恭明」(やぶもと やすあき)の名前があります。
1986年に東京大学を卒業しており、年齢的には57歳ぐらいでしょうか。
そのため、藪本氏の息子ではなく、弟なのではないかと思います。
この方の経歴も素晴らしいので紹介しておきます。
- 1986年3月:東京大学卒業
- 1995年4月:最高裁判所司法研修所修了(47期)
弁護士登録 - 2001年3月:大阪市立大学医学部卒業
- 2001年5月:医師登録
- 2005年8月:中小企業診断士登録
- 2008年7月:大阪医科大学修了(医学博士)
- 2010年4月:BBT大学院(MBA)
弁護士(大阪弁護士会所属)、医学博士、中小企業診断士、MBの資格を持っています。
まとめ
今回は、背任の疑いで逮捕された、医療法人前理事長の籔本雅巳容疑者氏についてまとめました。
かなりすごい経歴の方でしたね。
敏腕な経営者にも関わらず、目の前のお金に目が眩んでしまったのでしょうか。